先日、「ナタ豆の目覚ましいチカラ」と題して講演の機会を頂きました。
ナタ豆は熱帯特有のマメ科植物で、日本へは江戸中期に入ってきたと言われています。
果実は30~70センチにも達し、形が鉈に似ているので漢字では鉈豆と書きます。
又、刀豆(とうず)とも書きます。
ナタ豆には凄い薬効があり、抗炎症作用、排膿作用、免疫力アップ等の
働きがあります。
具体的には、歯周病(歯槽膿漏)、口臭、蓄膿症、痔疾患、そして
慢性腎臓病にとても効果が著しいです。
それはナタ豆にしか含まれていない、カナバニン(抗炎症・排膿・血行促進作用)、
コンカナバリンA(免疫力を高める)、ウレアーゼ(尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解)の
チカラであることが最近分かってきました。
すごい豆なんですが、いろいろと歴史を探ってみると面白い発見がありました。
九州・薩摩地方では昔から、ナタ豆は大変縁起の良いものとされていました。
というのは、蔓をどんどん伸ばして2~2.5メートルぐらいになると、一転して下を向いて伸び
やがて地上に戻ってきます。
昔の旅は無事に帰ることが何よりのことでした。その願いを込めて旅立つ人にナタ豆を持たせたそうです。
文献によると赤穂義士のナタ豆にまつわるエピソードがあります。
皆さんよくご存じの忠臣蔵、赤穂義士47人は主君・浅野内匠頭の敵を討つために吉良邸に討ち入る前日の夜
堀部安兵衛の家に全員集まりました。
そこで奥方たちは、首尾よく敵の首を取って全員無事に帰って来れるようにと、47士にナタ豆の
味噌漬けを食べさせました。
そして見事本懐を遂げ、全員無事に帰ってこれたのはナタ豆のお陰でしょうか。
奇跡というほかありませんね。
そしてもう一つ、西郷隆盛を盟主として薩摩が政府軍と戦った西南戦争の悲話があります。
身体は無事帰ることが叶わなかったが、魂は故郷に帰ったと思われる出来事です。
この戦いに出征した若い兵士たちは、例によってナタ豆を持たされました。
しかし、戦いは激烈を極め、激しい銃撃戦となり、生き残った兵士はわずかでした。
遺体となったものも帰還はかなわず、そのまま放置されました。
それから1年ほどして、慰問の一団が現地を訪れました。
すると、そこにはナタ豆が芽を出していました。「あぁ、これは薩摩の兵士に違いない」と
その場で丁寧に弔ってあげたという話が伝わっています。
若い兵士たちの魂は空高く舞い上がり、懐かしい故郷に帰ってきたことでしょう。
最後に、皆さん大好きなカレーライスの友ともいえる福神漬けの中にナタ豆が
入っているのをご存知ですか。
七福神の縁起をかついで7種類の野菜が入っています。ウリ、レンコン、シソ、カブ、ナス、ダイコン
そして若いナタ豆の莢が入っています。
明治の初期には、カレーライスといえば福神漬けが大人気になりました。この時代にもナタ豆のことを
熟知している方がおられたんですね。
先日、北海道でしつけの為に置き去りにされた小学生が無事に帰ってきましたが、この小学生もカレーと
福神漬けが大好きだったんじゃないかな、と思ったりしています。
よかった。よかった。