今まで鉄分に関して色々述べてきましたが、もう一度おさらいしましょう。

〇ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収の違い

食べ物に含まれる鉄分には肉やレバー、魚などに含まれる「動物性食品由来」のヘム鉄と、野菜や海草、プルーンなどに含まれる「植物性食品由来」の非ヘム鉄の2種類があります。

この二つの鉄分を比べると、ヘム鉄は溶けやすいのが特徴の二価鉄のため、小腸でそのまま吸収されますが、非ヘム鉄は吸収されにくい三価鉄のため、そのままでは吸収できず、ビタミンCや動物性蛋白質に含まれる消化酵素によって二価鉄に還元されてから吸収されるといった段階を経ます。ヘム鉄が非ヘム鉄よりも数倍吸収効率が高いのはこのためです。

ヘム鉄の吸収性

●ポイント ①

ヘム鉄は二価鉄という化学構造で、溶けやすいのが特徴です。一方非ヘム鉄は三価鉄という形の構造です。サビや無機鉄の鉄イオンの仲間で、消化吸収のためには、消化管内でビタミンCや動物性蛋白質などに含まれる消化酵素で、いったん二価鉄(ヘム鉄)になることが必要です。
そのため、非ヘム鉄で鉄分を取る時は、ビタミンCやタンパク質を一緒に食べるよう勧められます。

●ポイント ②

ヘム鉄は食物繊維やお茶などに含まれるタンニンなどから吸収阻害を受けません。

●ポイント ③

ヘム鉄はヘムオキシナーゼというヘム鉄分解酵素で吸収量を調整しています。
たくさん食べても鉄の過剰摂取の心配はありません。

これらのことから、ヘム鉄は非ヘム鉄より吸収効果が良く、優れています。

非ヘム鉄 食品100gあたりの鉄含有量

〇ほうれん草・・・2mg 〇小松菜・・・2.7mg 〇ひじき・・・7.8mg
〇大豆・・・2mg    〇油揚げ・・・4.2mg 〇卵黄・・・6.0mg

ヘム鉄 食品100gあたりの鉄含有量

〇豚レバー・・・13mg 〇鶏レバー・・・9mg 〇牛もも赤肉・・・2.7mg
〇牛レバー・・・4.3mg 〇かつお・・・1.9mg 〇ヘム鉄ゼリー 17mg