生命誕生当時の海水中には、2価の鉄イオンが大量に溶けていました。
シアノバクテリアが吐き出す酸素は、これを酸化して、3価の鉄イオンに変えていきました。
3価の鉄はさらに酸化され、水酸化物となって海中に沈んでいきました。これが鉄鉱石となります。
現在の地球は、地殻変動を経て、当時の海底が陸上になっている部分があります。
たとえば、有名なオーストラリアの鉄鉱山などは、当時の海底が隆起したものです。
こうして、酸化が進むと、海水中に溶けた鉄はだんだん少なくなっていきました。

一方、光合成によって吐き出される酸素が地上に増えたことで、酸素を利用する、つまり、呼吸する生物が表れ、急激な進化を遂げていきます。

その一方で、あんなにあった海水中の鉄は殆どなくなってしまいます。
これでは生命活動に必須の鉄が足りません。

そこで、生物は地上を目指しました。なぜなら、そこには酸素があり、鉄があったからです。
陸上の岩石は鉄を含んでいたのです。

地上に進出したのは、シアノバクテリアや真核藻類などの、岩石や鉱物から鉄を溶かし出す能力を持った生物です。そしていつしか、土から鉄を取り込む仕掛けを持った、根を持つ植物が繁栄を始めました。植物の多くは、根から酸を出して鉄を溶かし、水溶物にして、それを吸い上げる術を獲得しました。やがて動物も陸上に進出しますが、当然ながら動物にも鉄は必要不可欠でした。

動物は鉄を取り込んだ植物をたべたり、植物から取り込んだ鉄を蓄えている動物を食べたりして、間接的に鉄を摂取します。しかし、それだけでは心配です。その都度利用して足りなくなってしまったら、困ってしまいます。

そこで動物は、鉄を蓄えるフェリチンなどの専用のタンパク質を備えました。
フェリチンは鉄を20%以上も含有することが出来ます。
フェリチンは肝臓や、古い赤血球が処理される脾臓、そして骨髄や、鉄を吸収する小腸などにあります。また血液中を安全に運ぶために、トランスフェリンという専用のタンパク質も動物には備わっています。動物はこのような手の込んだ仕組みを用意してでも、鉄不足を予防していたんですね。

この地球上のあらゆる生き物は「鉄」ととても深い関わりがあるんですね。
地球の中心は「鉄」で出来ていると聞いたことがあります。

創造主様、ありがとうございます。