鉄が不足すると、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が作られにくくなりますので、精神的に頑なになりやすく些細なことでキレやすくなります。とはいえ、人前や公共の場では、そのような情動があっても、表出する人は希です。

ところが、家庭の中では、こうした感情があからさまになってしまうものです。特に自分の庇護下にあると思っている子供に対しては、かなりストレートな感情表現として表れやすくなります。

例えば、すぐに返事をしないとか、宿題が終わっていないとか、些細なことでイライラしたりキレたりして叱りつけてしまいます。中には手が出る人もいます。家の中がそのような状況だと、子供は萎縮してしまいます。
おびえながら過ごすような毎日です。

こうした状況が積み重なると、子供の側も、不登校・チックなどの心身症の症状が現れることもあります。このような場合には、まず母親の鉄分不足を改善することが大切です。母親の精神状態が良くなる事によって、子供の些細な行動も許せるようになります。

もちろん、許せるようになるからといって、甘い子育てになるということではありません。
本当に叱らなければならない場面では、冷静に叱ることが出来るようになりますので、子供の状態も落ち着いてくるでしょう。

母親の側が鉄・タンパク不足だと、その子供にも影響があるのではないかと、私は常に感じています。

子供は、もともと駄々をこねるものですが、それにしても、そうした親御さんのお子さんは落ち着かない様子の子が多いからです。

そうした母親側の検査データは、フェリチン値は30以下、BUN(尿素窒素)が10以下、中性脂肪は150以上と、絵に描いたような「鉄・タンパク+糖質過多」を表していますね。

以前は、脂肪の摂りすぎが中性脂肪を増やすと言われていましたが、現在では、脂肪のとりすぎではなく糖質過多の食生活が中性脂肪を上げることがわかってきています。糖質を摂りすぎると血糖値が上がりインスリンが分泌され、糖質をすべて脂肪に変えてしまいます。つまり、中性脂肪が高いということは、糖質過多を示していますね。

乳児の頃から、鉄・タンパクの不足した母乳を飲み、卒乳後も、母親と同じ様な食事を摂っているのだとすれば、子供も、「鉄・タンパク不足+糖質過多」で、質的な栄養失調になっていると考えられますね。おそらく、ビタミンB郡、亜鉛、マグネシウムも不足していると思います。

親子ともども、食を正すことが一番大切なことだと思います。