フェリチン値(鉄の貯蔵)は、女子の場合は中高生になると激減してしまいます。初潮を迎え、毎月の月経のたびに、血液が体内から失われるからです。その影響でこの年代に起こりがちな問題、不登校、すぐにキレる、自傷行為、過換気症候群なども鉄の枯渇に関係があると思われますね。

フェリチン値10以下の女性は、20代女性よりも30~40代女性の方に多くなっています。これは、この年代に、妊娠・出産する女性が多いことと関係しています。妊娠・出産では、胎児に鉄分が移行し、母親の鉄不足がさらに深刻になるからです。これは「産後うつ」の発症とも関係してきます。
産後うつは、妊娠・出産の過程で赤ちゃんに鉄分が多量に移行し、お母さんの鉄貯蔵が空っぽになってしまっているのが大きな原因です。
ですから、このように妊娠・出産で多量の鉄が必要になる女性は、若いころから高タンパク・低糖質食を続け、鉄分を補給する必要がありますね。

また、そもそも鉄が不足している状態は、不妊の原因になっているともいえますね。
鉄は、高温期に分泌される女性ホルモンの分泌にも不可欠ですし、排卵障害を予防する働きもあります。
さらに、卵細胞の成長にも必要ですし、受精後の胎児の器官形成にも不可欠です。
このため、鉄が不足すると、妊娠しづらくなったり、流産の原因にもなります。

40年ぶりに満たされた50代女性は元氣

20代後半~30代は、妊娠・出産を迎える方が多くなります。妊娠中は、体内の血液が50%も増えるため、それだけ大量の鉄とタンパク質が必要となります。
第一子、第二子と、出産するごとに鉄・タンパクは枯渇し、フェリチン値が10以下になると、産後うつが危ぶまれます。
そして、40代になってもフェリチン値が大きく回復することなく、子宮筋腫などの婦人疾患による出血傾向の増加も相まって、やはりフェリチン値30以下という傾向は続き、更年期障害も重なって、うつ・パニック障害のリスクは低下しません。

鉄分不足の問題がひと段落するのは、50代に入ってからです。閉経後、数年かけて、フェリチン値は100に近づいてきます。女性は40年振りにフェリチン値が100以上になる人が増えることから、大多数の人は元氣になります。

本来なら、はつらつとした若さを発揮しているはずの若い女性が、頭痛やイライラ、月経前症候群、不定愁訴などに悩まされている一方で、50代以上の女性の元気な姿を見ることは多いと思いませんか。頼れる世話好きのおばさんの元気の源は、まぎれもなく鉄分です。
フェリチン値が100以上と満たされているからだと思います。